【TEST】レポート報告 ハラスメント対策・防止のルールβ版の見直しの会 2
2025/11/19
レポート報告
ハラスメント対策・防止のルールβ版の見直しの会 2
2025/04/25 @stiffslack
当店では、2024年1月25に開催した「stiffslackにおけるハラスメント対策・防止のルールβ版を考える会」を経て、2024年3月20日に「ハラスメント対策・防止のルールβ版」を公表しました。
「ハラスメント対策・防止のルールβ版」は、6ヶ月に一度のペースで定期的に振り返りや見直しを行う予定であり、今回の「ハラスメント対策・防止のルールβ版の見直しの会」の第2回目を開催しました。(第1回目は2024年9月26日に実施)
今回も引き続き、ジェンダー・セクシュアリティの専門家である堀あきこさん(関西学院大学社会学部)をお迎えして進行等をお願いいたしました。見直しの会の内容についてご報告します。
※【ご注意事項】※
本レポートには性暴力被害に関する記述が含まれており、ご覧いただくことで、フラッシュバックが起こったり、精神的緊張が高まったりする可能性があります。ご注意いただきつつ、ご関心のある方にご覧いただけますと幸いです。
今回の見直しの会は、下記のアジェンダで進行しました。
■アジェンダ
1 ルールの見直し
(1)運用報告
(2)これまでの振り返り
(3)運用フロー確認のためのケーススタディ
・グループごとのワーク
・グループごとの発表(意見の共有)
2 ワークショップ 「演者を守るために何ができるか」
・グループごとのワーク
・グループごとの発表(意見の共有)
1 ルールの運用報告
まず、当店の竹岡より、ルール公表後の運用状況についての報告を行いました。
運用について
2024年3月20日にルールを公表してから、2025年4月25日までに約120回のライブ及びイベントを実施しました。この間、ハラスメント報告フォーム(TEL、gmail、instagram、X、LINE)への相談報告はゼロでした。
上記については周知や運用について引き続き考えながらアップデートを続けて行きたいと考えています。
また、ルールの周知については、当店をご利用いただく方に、ルールを改めて一読、認識していただくと共に、出演にあたってご質問をいただいた利用者様には、ZOOM等にて現在の取り組みについて説明させていただいております。この活動は今後も引き続き続けていきます。
また、現在はある程度固定されたスタッフでイベント等を実施していますが、今後新たに入るスタッフやアルバイトの方などに対し、ルールの運用についてフォローをしていく必要性があります。この点については、引き続きフローのアップデート、マニュアルの作成を進めていきたいと考えています。
ルールができてからの変化、感じたこと(stiffslack,stiffslack以外のことも)
当店における「ハラスメント対策・防止のルールβ版」を公表、運用を開始し約1年が経ちました。その中で著しく変わったと感じているのは、とても良い意味でオーナー、店舗の責任者である私、スタッフ間にて意見交換が活発になり、権力的な勾配関係なく意見を言い合えるようになったということです。
小さな店ですので、マンパワーが足りているとは言い難いため、店の運用に関する不満などがトピックにあがることも当然あるのですが、それを含めて意見をぶつけ合い易い雰囲気になってきたということはポジティブなことであると捉えています。
また、ルールを公表してからの当店の活動を通して、以前は当店でのイベントの出演に躊躇していたアーティストのみなさんも、今ならまた一度出てみようということで出演してくださる方も増えてきました。
2 これまでの振り返り
次に、堀さんから今回もこれまでの振り返りをしていただきました。
第1回の内容については、下記のレポートをご覧ください。
https://www.stiffslack.com/news/202307/post-21.html
第2回の内容については、下記のレポートをご覧ください。
https://www.stiffslack.com/news/202311/2.html
第3回の内容については、下記のレポートをご覧ください。
https://www.stiffslack.com/news/202403/stiffslack.html
第4回の内容については、下記のレポートをご覧ください。
https://www.stiffslack.com/news/202412/-1.html
3 「事実」と二次加害――ライブハウスでの痴漢行為の
訴えとその対応から
・グループごとのワーク
・グループごとの発表(意見の共有)
2025年3月16日に起きた大阪のライブハウスでの痴漢告発を例に主催者、店としてどのような対応が望ましかったのかについてグループにてディスカッション、ワークを行いました。
■グループで議論を行うにあたってのグランドルールとしてこれまで同様、下記のルールが設定されました。
【グランドルール】
・人の意見を最後までしっかりと聞く。途中で遮ったり、自分の意見にこだわったり、否定的な表情や態度ではなく、尊重すること。
・発言する時は自分の考えや根拠を明確にする。感情的になったり、一方的に主張したりせず、相手が理解しやすいように話すことを心がける。
・無理して話さなくてもよい。沈黙はOK。
・ハラスメントに該当するような言動は絶対にしない。
・公平性を保つために、一人で長々と話し続けない。
・話した内容は秘密にする。参加者以外の人に漏らしたり、悪口や噂話にしたりしない。プライバシーを守る。
・この場所が「対等な関係」となっているか、注意する。
■各グループで議論した後に、各グループの発表の時間が設けられました。各グループの発表にていただいた主なご意見は以下の通りです。
グループ1
主催者の対応がよくなかったというのはこのグループでは共通していました。
「では、どこが特に良くなかったのか」という部分にフォーカスした議論になり、主催者側が「自分の会社を守ることに偏ってしまった」のではないかという話になりました。
また、主催者側としても、こういう対応をすれば相手は取り下げるだろうと悪意を持って対応をしたというより、単純にネット炎上及び反響の大きさの混乱から出した声明だったのではないか、という意見でした。
このようなパニックによる対応は、知識不足からくる想像力の欠如が招いてしまったのだと思うという意見も多く出ました。
このような対応が起きないようにするためには、互いの意思を尊重するために正しい知識を持つことと、それを関わるスタッフと共有していくマニュアル化や、例えばこのようなレクチャー会を開くなども良いのではという案、そのほかには、大掛かりになってしまいますが、映画館で上映前に流れる盗撮禁止の映像のような、注意喚起を促すような何かがあったりしてもいいのかなという意見も出ました。
グループ2
まず題材として挙げられた事例の主催者側であるキョードーの対応の問題点として、「大ごとにしたくない」、「責任を追いたくない」という感情や炎上、反響に対して対応のスピードを内外から求められる中で声明文に対するチェックが充分にできず、諸々の対応の杜撰さを招いてしまったのではないかという意見が出ました。また主催者の声明文の中に「事実」という文言を使っていたが、実際には起きたかどうかはわからないことを決まったことのように強調して表現したのは良くなかったと思う。「現在確認、調査中」といった表現にした方がよかったのではないか?という意見が出ました。またグループ1と同様に、プレッシャー、スピード感の中でパニックによる対応のような状況があったのではと思うという意見が出ました。
これは、stiffslackの初動対応でも同様の現象があったように思うし、知識不足から二次加害を引き起こしてしまったように思いました。
このような告発や報告に関して、例えばお店とアーティスト、アーティストとお客さん、お店とお客さんなど、様々な利害関係が必ず発生する中で、第三者である代理人や警察、相談先の存在がオペレーションの中にあることは重要であるとも思いました。
グループ3
このグループでも、最初の声明はとても様々な視点が加えられた文言とは思えず、パニックによる対応があったと感じられたし、内容自体もかなり威圧的で脅迫めいていて、告発しずらさを助長させてしまうような印象を受けました。また、事実かどうかは置いておいたとしても、被害者の視点が入ってない、寄り添ってるとは思えない文章だったように思います。
やはり、stiffslackの初動対応に対しても概ね同じ部分の問題があったように思います。
5 ルールβ版の見直しの会の所感(新川拓哉)
今回も進行を務めてくださいました堀あきこ先生、ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。
ルール発足より、当店の主となるマネジメント及び運営を竹岡に移行し、彼と他のスタッフを中心に約1年間当店を運営して参りました。
それにより、自分自身に見えていなかった考え方や関わってくれるスタッフの意見が徐々に反映されてきており、僅か1年ではありますが小さくない変化がお店にもたらされていると以前にも増して感じております。
特に最近強く感じる、自身としての変化としましてはスタッフだけでなく、お店に関わってくださるお客様、出演してくださるアーティストによるアイデア等をより素直に受け止められるようになれてきたのではないかと思っています。他者の意見を尊重し且つ私を含め当店としての強さ、良さをより積み上げながら新しい場所、安全な場所を作っていければと考えております。
また、今回のワークショップで取り上げられた事例に関して、参加者の皆さんから初動対応の問題点についてご意見がありました。
初動対応の問題点については、私のケースにおいても同様の問題があったというご指摘があり、当時、パニック状態にある中で、二次加害となってしまうような初動対応を行ってしまったことを反省するとともに、今後、同じようなことを繰り返さないように気をつけなければならないということを再認識いたしました。
また今回いただいたご意見を元に今後に生かして行ければと考えておりますので引き続き何卒よろしく
お願い申し上げます。
6 これまでの経緯
当店において、これまでのレクチャー・ワークショップ、ルールβ版を考える会、ルールβ版の公表、ルールβ版の見直しの会を開催するきっかけとなった経緯について、時系列にしたがって改めて整理いたします。
2021年12月6日:移転前の旧stiffslack店舗にて発生した当店代表新川によるセクシュアル[性的orセクシャル]ハラスメント行為に言及したツイートが旧Twitter(現X)にて投稿される(以下、ツイート主様を「A様」といいます)。
2021年12月7日以降:新川から受けたハラスメント行為を告発するツイートがA様以外の複数アカウントより旧Twitter(現X)に投稿される。
2021年12月9日:当店旧Twitter(現X)アカウントより、ステートメントを発表。
2021年12月17日:上記ステートメントを撤回(以下、「撤回済みステートメント」といいます)。
2021年12月〜2022年4月:双方代理人間で協議を続ける。
2022年4月7日:A様の事前確認を経たうえでステートメントを最終版として発表。
2022年7月13日:読書会1回目
2022年8月2日:読書会2回目
2022年8月17日:読書会3回目
2022年8月30日:読書会4回目
2022年10月5日:上記読書会の開催方法を改める旨を発表。
2022年10月〜2023年6月:双方代理人間で協議を続ける。
2023年6月12日:レクチャー・ワークショップ第1回目
2023年8月23日:レクチャー・ワークショップ第2回目
2024年1月25日:stiffslackにおけるハラスメント対策・防止のルールβ版を考える会
2024年3月20日:ハラスメント対策・防止のルールβ版の公表
2024年9月26日:ハラスメント対策・防止のルールβ版の見直しの会
2025年4月25日:ハラスメント対策・防止のルールβ版の見直しの会 第2回目
新川のハラスメント行為に対するA様の告発を契機として、A様以外の複数アカウントからも旧Twitter(現X)で過去の新川によるハラスメント行為を告発する投稿がなされました。これを受けて、新川は事態を早く収束させたいという気持ちが先行するあまり、撤回済みステートメントを発表しました。この撤回済みステートメントはA様の確認を経ずに出されたものであり、当該ステートメント自体が二次加害と呼べるようなものでした。その後、A様の代理人と協議をし、新たなステートメントを発表しました。新たなステートメントにおいて今後の改善策として読書会を開催し、当店のルールについて策定することをお約束しました。その後、読書会を何度か開催したものの、読書会の運営方法についての知識が不十分のままに開催してしまったこともあり、読書会の当初の開催目的を見失ってしまうような運営になってしまいました。このため、軌道修正を図るため、読書会ではなく別の方法を模索することになり、堀さんをお招きして、レクチャー・ワークショップを開催するということになりました。A様や他の複数のアカウントからのハラスメント行為の告発を受けて、新川は、当時の自身の認知の歪みやジェンダー等に関する意識の低さを認識・反省し[始めることとなり]、今後、当店を運営していくにあたって、より多くの人に開かれ、かつ安全に音楽を楽しんでもらえるようなお店づくりを行うために、当店のルールを策定し、運用を開始しております。
7 今後に関して
当店におけるルールのβ版を2024年3月20日に公表してから、当店では同ルールを元に当店の運営を実施しております。またstiffslack実店舗の責任者及び支配人が新川から竹岡に変更になり、店舗運営を継続しています。
ルールを公表して以降、おかげさまでいわゆるハラスメント事案と呼べる事象は発生していませんが、店舗の運営にあたって新たな気づきとなるケースも出てきています。
今後も当店でルールがきちんと運用されているのか、足りないルールはないのか、より良い運用方法はないのか、といった点について見直すべく議論を続けていければと考えております。
ルールβ版を踏まえた当店の運営に関して引き続きご関心を寄せていただけますと幸いです。
