Stiff Slack

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CHEVREUIL Interview

2006/05/13

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TONY C(guitar/keyboard)
JULIEN F(drums)

■まず基本的なことからお伺いします。いつ、どのようにしてお二人は知り合い、シェヴリルは結成されたのですか?
トニー(ギター:以下T):1998年に、美術学校で勉強してるときに出会って、そこですぐさま、一緒に音楽をやろうと、シェヴリルを結成することを決めたんだ。

■結成に当たって音楽的なコンセプトはありましたか?
T:コンセプトは最初からきちんとあったよ。目に見えないミュージシャンのシミュレーション、クアドラフォニー(それぞれ独立している4つのアンプを使って一つのギターを弾くこと)、4つのアンプ、ライブ音源のサンプル、ループ、ドラムを真ん中に配置すること、だね。

■シェヴリルはフランス語で"小鹿"という意味だと思うのですが、なぜこの名前を選んだのですか?
T:僕たちは、典型的なフランス語の名前を探していて、そのときにシェヴリルって響きにこれだと思ったんだ。だから、その意味の小鹿というのは、ただの動物であって、全く重要ではないね。

■あなたがたの待望のアルバム『Capoeira』聴きました。たった二人から生み出されるサウンドとは思えないほどとてもエキサイティングで、かつどこか芸術的にも感じられる素晴らしい作品だと思います。今作に収録されている楽曲はどのようにして作られたのですか?
T:前作『Chateauvallon』をリリースした後、何か変化が欲しかった。それで、ゲームプレイ(ギターの弾き方、今は、シンセサイザーもギターと一緒につかうので、ただのギターではないからトニーはこう呼ぶ)とサウンドを変える目的で、練習中にキーボードを使いはじめて、そんなところから『Capoeira』が出来たよ。それと、シェヴリルは、ライヴ・フェノメノンだと思う。ライヴ・フェノメノンというのは、サウンドを左、右、前、後ろと四方八方から感じられるライヴが、一番僕たちの音楽の特別なところを表現できるという事。あと、他のアルバムと比べてみると、僕はとてもいい状態で全てのインストゥルメントをコントロール出来てると思う。

■制作の段階で、今回はこうしようみたいなコンセプトはあったのですか?
T:僕にとっては、インストゥルメントを結合させる事。"エレクトリック・ギターとアンプ"のようなロックなインストゥルメントと"シンセサイザーとサンプラー"のエレクトリックなインストゥルメントのミックスだね。多分、違う言い方をすると『Capoeira』は、"ハイブリッド・ロック"と"ハイブリッド・ゲームプレイ"。いろいろ組み合わせることで、僕のギター、ゲームプレイがもっと特別なものになるんだ。もちろん、『Capoeira』は、シェヴリルの音楽であるから、今までのものと変わらないところもあるよ。

■今回シンセサイザーが以前より多く導入されていると思うのですが、どういった意図があってそうしたのですか?
T:以前のアルバムでは、キーボードは使ってない。『Capoeira』では、ただ変化と発展を求めたら、使う事になったんだ。

■一度にアンプ4台を駆使してギターを弾くトニーのギター・スタイルはどのようにして生まれたのですか?
T:クアドラフォニーに取り組んでいて、ヘッドラッシュ・サンプラー・ペダルを直接アンプに繋いでる。ケーブルとあるネットワークのようなもので、リフ、演奏、サンプル、そういったものが全部孤立させる事ができる。そんな方法で、2人か3人の目には見えないミュージシャンを擬人化することが出来たんだ。そうする事で、一人ひとりのヴァーチャル・ミュージシャンが、それぞれのバンドからでるようなアンプの音を作り出す事ができる。

■全く想像できないのですがスタジオやライヴでは一体どのようにして弾いているのですか?
T:何ヶ月もの間、ロックのギターとして自分のギターを使いたくなかった、それで、サウンドを変化させるためにギターをある意味、破壊したんだ、シェヴリルでは、キーボードを使って、Perceval Musicではサンプラーを使う事でね。だから、新しい楽器を作り出すことにした。けれども、木材から作るヴァイオリン制作者のようではなく、微分子を組み合わせる化学者のようにやってみたんだ。"Chevreul touch guitar"は、同じシグナルの同じケーブルでキーボードと組み合わされたギターをアンプに繋いである。演奏する時は、片手でキーボードを弾いて、片手でギターをタッピングしてる。一度にたくさんのインストゥルメントを使いたくないから、今は、この2つだけを弾いているよ。ギター、キーボード、ケーブル、ヘッドラッシュ・サンプラーと4つのアンプ全てが組み合わさって僕のインストゥルメントと言えるね。

■今までのアルバムと同様、今作でもスティーヴ・アルビニがプロデュースされたようですが、彼との作業はいかがでしたか?
T: 彼の仕事の仕方をとても気に入ってるから、是非、また一緒に仕事がしたい。彼と一緒だと、僕たちはゲームプレイだけ考えればいいから、集中できるんだ。スティーヴに、サウンドのクオリティーと技術的なことは、任せられるからね。それと、もう一人、グレッグ・ノーマンとも一緒に仕事してる。彼もとてもいい人で、面白いし、仕事はプロフェッショナルだね。

■初期の頃からリリースはルミナンス(RuminanCe)からです。ルミナンスからの作品はリリース後にすぐに廃盤になってしまいますよね。そのことも含めて、ルミナンスはいかがですか?
ジュリエン(ドラム:以下J):うん、ルミナンスが初めて僕らの音楽を見出してくれたんだ。ルミナンスを経営しているフレッドは、とても素敵な人で、彼の仕事のやり方がとても気に入ってる。実際、廃盤は当たり前のことだよ。シェヴリルとルミナンスの考えとして、いつも限定盤しか作らないからね。

■またこのアルバムのレコーディングの後、スタジオの期間を延長してEP『Science』が制作されました。こちらの作品もアルバムに引けをとらない楽曲が並ぶ、本当に素晴らしい作品に仕上がっていますが、こちらの作品はどのようなものなのでしょうか?
J:『Capoeira』と『Science』は、同じ時期に作られたんだ。2ヶ月間大変だったよ。2つの作品はお互いに繋がってる。でも、もしかしたら、『Science』は、少し実験的に感じるかもしれない。

■この作品は日本オンリーのリリースという形ですが、それについてはいかがですか?
T:可能性のことからいっても、日本限定のリリースはとても良い機会だと思う。とても刺激的で、エキゾチックな感じがする。このEPをきっかけに、僕たちが日本でもっと注目されると願ってるよ。

■日本でのリリースということで来日の予定はありますか?とても来日を熱望しています!!
T:夏以降に日本でツアーが出来たらとは思っている。その辺りは、Stiff Slackが詳しく話せるんじゃないかな。

■このEP、アルバムと同じ時期に制作された、ジュリエンの新プロジェクトPasse Montagneとしてのアルバムもリリースするようですね。このバンドはどのようなバンドなんですか?
J:Passe Montagneは、3ピース・ロック・バンド。トニーと『Capoeira』と『Science』を作っているのと同時期にアルバムを作ったんだ。2つの違うプロジェクトを同時期にやるのは、どちらがどちらというように演奏の点で大変だった。Passe Montagneは、思いつきなプロジェクトで、技術的にも大変だったよ。

■シェヴリルとPasse Montagneとで、ドラムの使い方など何か変えているところはありますか?
J:シェヴリルでは、ループにかなり気を取られる、気をつける必要があるんだ。Pasee Montagneでは、こういうところがないね。ドラマーとして、もっと古典的に演奏してみたかった、その点で、Passe Montagneでは、真のドラマーとして楽しみがあるよ。

■トニーもシェヴリル以外の活動として、去年にPerceval Musicというソロ・ユニットでアルバムをリリースしましたよね。このソロ・ユニットについて教えていただけますか?
T:Perceval Musicは、シェヴリルと作用し合うプロジェクト。Perceval Musicでも、インストゥルメントを変化させてるけど、こっちではもう少しレアで中世的な感じかな。

■ところで、あなたがたシェヴリルを紹介する際、日本ではよくバトルスやヘラというバンド名が使われていますが、それについてはどのように思いますか?
T:バトルスやヘラはすごいバンドだよ、僕たちも大好きだし。多分、似ている部分もあるだろうけど、全く違う部分もたくさんあるよ。

■日本では英米の音楽の情報は多いのですが、残念ながらフランスの音楽についてはあまり多くは入ってきません。現在のフランスの音楽シーンはいかがなものなのですか?
J: フランスの音楽シーンは活発だよ。だけど、正直、僕はあんまり興味がないんだ...。

■普段はどのような音楽を聴いているのですか?
T:あー、実のところ、特にはないな。
J:僕はね、彼女のレコードコレクションから、いろいろ漁って聴いてるよ。彼女のレコードコレクションは莫大で、古いものから、モッズ、パンク、70年代のものとかいろいろ持ってるんだ。

■バンド、それぞれの課外活動を含めて、これからの活動予定があれば教えてください。
T:今年はヨーロッパ、日本、アメリカとツアーに時間を費やすよ!Perceval Musicでも新しい音源の制作とライヴの予定があるけど、まだはっきりとは何も言えない。
J:多分、今年はたくさん旅に出るね。5月に、Passe Montagneとして、ちょっとしたヨーロッパ・ツアーをする予定だよ。

■最後に何か一言お願いできますか?
T:ライブで、近いうちに日本で会いましょうといいたいな。ライブでは、最大限に力を出していくよ。
J:分からない...。

取材: 星野真人
翻訳: マチダキョウコ

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